教育資金を贈与すると節税ができる?

岡山の相続専門税理士の風早です。

 

教育資金を贈与すると1500万円まで贈与税が非課税となる制度があります。本コラムで教育資金贈与の非課税制度の活用方法について解説します。

 

教育資金贈与の非課税制度とは

近年では大学・短大への進学率は50%を超えています。子育て世代にとっては、将来お子さんを大学に入学させたいと考えていらっしゃる方も多いかと思います。お子さんを大学まで通わせるには多額の教育資金が必要となります。

 

一般的な教育資金として必要となる費用は、幼稚園から大学まで全て公立の場合では約800万円、私立大学(文系)に進学すると約1000万円、私立医学部では約3000万円となります。その他にも、進学による仕送りなどの費用を考えると、子育て世代にとっては日頃から節約して将来の教育資金のために預金を積み立てておかなければなりません。

 

一方、政府としては、シニア世代が眠らせている預金を動かして消費を活発化させたいという意向があります。そこで、シニア世代から子育て世代へ生前贈与をしやすくすることで、贈与を受けた子育て世代が預金を使いやすくするための政策に取り組んでいます。

 

その政策の一つに、教育資金贈与の非課税制度があります。

教育資金贈与の非課税制度を活用すると、贈与税の非課税枠が1500万円という非常に効果の大きい制度です。1500万円を贈与すると、通常は贈与税が約360万円かかるところ、教育資金の贈与であれば贈与税はゼロなのです。教育資金贈与の非課税制度を活用すると、360万円の贈与税の節税ができることとなります。

 

 

修学旅行費用も教育資金として非課税?

教育資金というと、学校の授業料、入学金、学習塾などを思い浮かべることができます。どのような費用が非課税となる教育資金であるのかを注意しなければなりません。

 

教育資金贈与の非課税制度においては、教育資金の内容は(1)学校などへ支払う費用(2)学校以外へ支払う費用の2つに整理されます。

 

(1)学校などへ支払う費用

  • 入学金、授業料、施設設備費又は入学試験の検定料など
  • 学用品の購入費や修学旅行費や学校給食費など

 

(2)学校以外へ支払う費用

  • 学習塾、そろばん教室などの費用
  • 水泳教室、ピアノ教室などの費用
  • 通学定期券代、留学のための渡航費などの交通費

 

 

1500万円が非課税となるのは(1)学校などへ支払う費用に限られます。

(2)学校以外へ支払う費用については、500万円が非課税金額の上限となります。

すべての教育資金が1500円の非課税枠の対象ではないという点に注意が必要です。

 

実際に使った教育資金よりも、贈与金額が多すぎて使い切れない場合は、その残金が贈与税の対象となります。教育資金として、どの程度の金額が必要となるのか、贈与を行う前に見積もっておきましょう。

 

教育資金贈与制度の活用には金融機関での手続きが必要

教育資金は何年にも渡って支出が必要となる費用です。贈与された預金が本当に教育資金として活用されているのか、税務署で全て把握することはできません。

 

そのため、教育資金贈与の非課税制度を活用する場合、金融機関で手続きを行う必要があります。具体的には、教育資金を贈与する際に、その預金を金融機関に預けておいて、教育資金を支払ったらその領収書等を金融機関に持参して、支払った金額を金融機関から払出しをするという流れになります。

 

 

教育資金贈与制度を活用するには、次の3つのステップで手続きを行う必要があります。

 

  1. 教育資金口座の開設
  2. 教育資金口座から払出し
  3. 教育資金口座の契約終了

 

教育資金口座の開設手続き

教育資金贈与の非課税制度を活用する場合、金融機関で教育資金口座の開設を行う必要があります。その際に、金融機関との間で教育資金管理契約を締結し、教育資金非課税申告書を作成する必要があります。教育資金の管理を金融機関に任せる形で、教育資金贈与の非課税制度を活用するということを、税務署にわかるように手続きをします。

口座開設の際に必要となるものは、銀行印、マイナンバーカード(又はマイナンバー通知カード)、身分証明書などです。各金融機関に事前の確認をしておくとよいでしょう。

 

 

教育資金口座の払出し手続き

教育資金に使用した領収書等を金融機関にもっていって、教育資金の払出しを行います。領収書の日付から1年以内に金融機関にもっていく必要があります。年に1回は払出しにいくことを忘れないようにしなければなりません。また領収書がもらえないという場合もあるかもしれません。そのような場合に備えて教育資金の明細書を作成しておくとよいでしょう。1万円以下の支払いで、合計24万円までは領収書がなくても、明細書の提出でよいとされています。

 

 

 

 

教育資金口座の契約終了

教育資金口座の預金が残っているからといって、いつまでも教育資金の管理契約が続くわけではありません。教育資金の管理契約は、預金をもらった人(孫)が30歳になると終了となります。終了となった時点で教育資金口座に残高がある場合、その残高に対して贈与税がかかります。例えば、500万円が残高となっていた場合、約50万円を贈与税として納税しなければなりません。教育資金として、どの程度の金額が必要となるのか、贈与を行う前に見積もっておきましょう。

 

 

教育資金贈与の非課税制度を活用すると相続税の節税になる

生前贈与を行うと相続税の節税が可能となります。相続税がかかる相続財産が減少して、相続税が減少するためです。相続税の節税のために生前贈与が過度に行われると、税務署としては相続税の取りこぼしがおきてしまいます。

 

そのような状況を抑えるために、生前贈与をおこなって、すでに被相続人の手許にない財産についても、相続税の計算上、相続財産として計上する場合があります。しかし、教育資金贈与の非課税制度を活用して贈与した預金は、相続時に相続財産として計上しません。教育資金贈与の非課税制度を活用すると、相続税の節税が可能となります。

 

 

 

教育資金贈与の実行はお早めに

教育資金贈与の非課税制度は2019年3月末までの特例制度です。

 

その後の取り扱いは税制改正等により異なる場合があります。教育資金贈与の非課税制度は財産格差による教育格差を助長するものという批判があります。2018年12月の税制改正大綱により、贈与を受ける側の所得要件や非課税枠の縮減が行われる見通しと政府発表があります。教育資金贈与が使えなくなる、又は節税効果が薄れる可能性があります。教育資金贈与を検討されている方は、お早めに行うことをおすすめします。

 

教育資金贈与を活用するにあたって、いくらの金額であれば、相続税・贈与税ともに最も効果のある節税となるのか、相続専門の税理士にご相談ください。

この記事の執筆者

風早 昭徳

大手税理士事務所で相続・事業承継の経験を積んだ後に独立。風早税理士事務所の代表税理士。

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風早税理士事務所 代表税理士 風早 昭徳

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