オーナー株式の株価はどのように計算する?

相続税コラム

岡山の相続税専門税理士の風早です。

 

会社経営者の方で事業承継を考えている方の中には、後継者へオーナー株式をわたすと株価はいくらになるのか確認したい方は多くいらっしゃいます。本コラムではオーナー株式の評価方法について解説します。

 

オーナー株式は財産評価により計算する

会社の株式を保有しているオーナー社長が、息子である後継者に事業承継を行う。事業承継については、社内の権限移譲、取引先や金融機関との関係維持など、様々なことを検討しなければなりません。その中でもオーナー株式には注意が必要です。

 

上場していないオーナー株式は換金できないのに何で税金がかかるのか。会社の努力の結晶である、過去の利益の積み立てに対してなぜ課税されなければならないのか。これまで何度も耳にしてきた言葉です。その場でお話できないことも多いのですが、大株主であるオーナーは保有比率によっては、近年ではM&Aなどによりその会社を売り払ってお金にすることができること、会社に個人の財産を移転することによって相続税の節税が可能となることなどが主な原因と考えられます。

 

上場会社の株式であれば、株式市場により時価が公表されています。一方で、オーナー会社の株式は、上場株式と違って時価がありません。そのため、後継者がオーナー株式を相続・贈与で取得したときは、株価はいくらになるのかという問題が生じます。

 

贈与によりオーナー株式をわたす場合、国税庁の定めた財産評価によって計算します。贈与税の計算上、後継者は財産評価によって計算した株価によりオーナー株式を取得したものとします。例えば、経産省のモデルケース(事業承継税制適用企業の平均値等)によると、資本金1000万円、従業員数34人の会社では、株価は1.5億円、贈与税は7550万円にもなります。相続・贈与によりオーナー株式をわたすときで、株価が高額である場合には、多額の税負担が必要となることもあります。

 

株価が高額だと、 贈与税も高額に!

 

 

財産評価による株式の計算方法

財産評価による株式の計算方法には、類似業種比準価額と純資産価額の2つの計算方法があります。会社の規模に応じて、2つの計算方法を組み合わせることにより株価を計算します。下記の表を参照ください。

 

会社の規模 評価方式 備考
大会社 類似業種比準価額 純資産価額でもよい
中会社の大 類似業種比準価額×90%+純資産価額×10%
中会社の中 類似業種比準価額×75%+純資産価額×25%
中会社の小 類似業種比準価額×60%+純資産価額×40%
小会社 純資産価額 〈類似業種比準価額×50%+純資産価額×50%〉でもよい

 

組み合わせ方の傾向として、会社規模が大きくなるほど、類似業種比準価額の割合が大きくなります。類似業種比準価額は、同業種の上場企業の株価をベースとして計算する方法です。会社規模が大きくなるほど、上場企業の株価に近づくというイメージになります。

 

 

類似業種比準価額の計算方法

上場会社の株価をベースとして、評価する会社の配当・利益・純資産の状況を同業他社の状況と比較して、オーナー株式の評価を行う計算方法となります。類似業種の上場会社の株価「A」、1株当たりの配当金額「B」、利益金額「C」及び純資産価額「D」を基とし、評価しようとする会社の配当金額Ⓑ、利益金額Ⓒ、純資産金額Ⓓを比較することにより、株価を計算します。業績の好調な会社で、多額の利益がでており、その利益の一部を株主に配当金として支払っている場合には、類似業種比準価額による株価は高額になります。

 

類似業種比準価額の計算式

 

 

 

純資産価額の計算方法

会社の財産の状況により、オーナー株式の評価を行う方法となります。会社の資産から負債を控除して純資産価額を計算します。資産に含み益がある場合には含み益の37%を控除できます。会社が不動産、株式などを保有している場合、帳簿価額ではなく、相続税評価額等に洗い替えを行います。会社が繰延資産や引当金を計上している場合、株価算定上はないものとします。債務超過の場合、株価はゼロとなるため、相続税・贈与税の心配はありません。

 

1株当たりの純資産価額

 

 

 

オーナー株式をわたすときは事前の計画が必要

相続・贈与により後継者にオーナー株式をわたすときは財産評価により株価を計算します。業績が好調である又は過去の利益の積み立てが多額である場合、株価が高額になります。株価が高額である場合、相続税・贈与税の負担が高額となってしまうこととなります。株式をわたす方法や株価の対策を行うことにより、節税をできることがあります。オーナー株式をわたすときは、事前に相続専門の税理士へ相談されることをおすすめします。

 

この記事の執筆者

風早 昭徳

大手税理士事務所で相続・事業承継の経験を積んだ後に独立。風早税理士事務所の代表税理士。

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風早税理士事務所 代表税理士 風早 昭徳

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