自宅と預金だけでも相続税申告は必要?

相続税コラム

岡山の相続税専門税理士の風早です。

 

平成25年の税制改正により相続税の非課税枠である基礎控除が4割引下げられました。この税制改正により相続税の申告が必要となる相続人が大幅に増加しました。本コラムでは相続税申告が必要となる場合について解説します。

 

基礎控除の引き下げにより相続税は身近な税金に

相続税は一部の富裕層にだけかかる税金というイメージの人が多いです。そのイメージの背景には、基礎控除という非課税枠があります。相続税申告は、基礎控除を超える財産を取得する場合に必要となります。税制改正により、この基礎控除が4割引き下げとなりました。

 

例えば相続人が配偶者と子ども2人の場合、相続人は3人となります。この場合の基礎控除は4800万円です。被相続人の財産が4800万円未満の場合は相続税申告が不要です。

 

改正前は、相続人が3人の場合、相続財産が8000万円未満の場合は相続税申告不要。改正後は、相続人3人の場合、相続財産が4800万円未満の場合は相続税申告不要

 

まず、被相続人の財産について、財産目録を作成するなど財産の調査を行って、財産の合計が4800万円以上になるか確認します。主な財産として、土地、家屋、現預金、有価証券、生命保険金などがあります。銀行借入金や葬式費用がある場合は、財産の額から差し引いて4800万円を超えているかを確認します。

 

確認の際には、国税庁の「相続税申告要否の簡易判定シート(PDFファイルにリンクします)」を使用すると便利です。

 

 

 

相続税がゼロでも、相続税申告が必要となる?

小規模宅地等の特例を適用する場合

小規模宅地の特例は、相続税の納税のために、生活や事業に使う土地に影響が出ないようにするために制定された優遇措置です。小規模宅地の特例を適用すると土地評価額が最大80%減額されます。土地評価額が1億円でも、相続税申告上は80%減額して2000万円として財産計上できる制度です。相続税申告が必要かどうかは、申告書に計上する2000万円ではなく、特例適用前の1億円で判断を行います。そのため、結果として相続税がゼロでも、相続税の申告が必要となるため、注意が必要です。

 

 

配偶者の税額軽減を適用する場合

配偶者が相続財産を取得した場合、老後の生活保障などの観点から優遇措置が適用されます。配偶者が相続した財産は相続分まで(1億6000万円以下は全額)が非課税となります。相続分について、相続人が配偶者と子の場合、配偶者の相続分は2分の1です。配偶者は相続財産全体の2分の1まで取得しても非課税となります。例えば、配偶者が取得した財産にかかる相続税が本来は800万円だったとしても、配偶者の税額軽減を適用すると、相続税がゼロとなることもあります。このような場合にも相続税の申告書が必要となるため、注意が必要です。

 

 

意外にも相続財産として計上が必要となるもの

相続開始直前の預金引出が多額にある場合

相続開始の預金残高だけでなく、相続開始直前の引出はいわゆるタンス預金として相続財産に計上されます。例えば、相続開始日の預金残高が100万円だけになっていても、相続開始1か月前に預金残高が5000万円であったとしたら、1か月間に引き出した4900万円は相続財産に加算されます。相続開始日の残高だけでみると相続税申告が不要かと考えてしますが、実際は相続税申告が必要ということもあります。

 

1か月の間に引き出した4900万円も相続財産に加算

 

 

生前贈与を行っている場合

生前に財産の贈与を受けているような場では、相続開始日に被相続人の手許に相続財産がなくても相続税の計算上、相続財産として加算される場合があります。例えば、数年前に3000万円の預金の贈与を受けて、相続人はそのお金を使ってしまって相続開始日には手許に残っていないという場合においても、3000万円が相続財産として課税されることがあります。生前贈与を行ったときに、どのような税制を活用したかや相続時の状況によって、相続税の取り扱いがことなります。このような場合には、相続専門の税理士へ相談することをおすすめします。

 

 

会社貸付金がある場合

会社を経営されている方においては、会社株式やその他の財産にも注意が必要です。代表的なものに、社長から会社への貸付金があります。社長が支払った会社の経費を未精算の場合、社長が会社の経費を立て替えていることになります。このお金は社長が会社に対して支払いを請求することができるものであり、社長からすると会社にお金を貸しているものとして会社貸付金となります。この会社貸付金も相続財産として計上することになります。

 

 

まとめ

相続税の計算上は、各種の優遇措置の適用が可能となる場合があります。結果として相続税の支払いが不要であっても、相続税の申告が必要となる場合があります。また、一般的の方の感覚では、相続財産として認識しにくくても、相続税の計算上は相続財産に加算されるものがあります。このような財産も相続財産に加算すると、基礎控除を超えることとなり、相続税の申告が必要となる場合があります。ご自身の場合に相続税の申告が必要となるのか確認したい場合は、相続専門の税理士に相談されることをおすすめします。

 

この記事の執筆者

風早 昭徳

大手税理士事務所で相続・事業承継の経験を積んだ後に独立。風早税理士事務所の代表税理士。

詳しくはこちら

風早税理士事務所 代表税理士 風早 昭徳

初回60分ご相談無料
相続のお悩みは専門家へご相談ください

086-801-4351 平日9:00~18:00 土日祝は要予約