最大1200万円受給できる制度 事業承継補助金とは

最大1200万円受給できる制度 事業承継補助金とは

岡山の相続税専門税理士の風早です。

 

事業承継をきっかけとした後継者の新しい取り組みが、会社の業績回復につながるという事例が多く聞かれるようになりました。本コラムでは、後継者による新たな取り組みを後押しする制度「事業承継補助金」について解説します。

 

 

後継者による新しい取り組みで業績がV字回復!

先日、とあるテレビ番組で、創業40年、地方で5店舗に展開している衣類クリーニング会社について特集していました。ファストファッションなどの流行により、衣類クリーニング業界は不況であり、その会社の売上も右肩下がりで減少していました。品質は抜群でしたが、宣伝手法が昔のままで時代に対応できておらず、品質の高さを顧客に十分にアピールできていないことが原因でした。

 

そこで、社長の息子さんである後継者が自社の品質をインターネットで宣伝したところ、顧客に魅力が伝わり、受注する件数が大幅に増加したのです。その結果、その会社の売上は右肩上がりとなり、業績はV字回復となりました。時代にあわせた広告手法へ後継者が取り組むことにより、売上が右肩上がりになる事例として学ばせていただきました。

 

 

 

 

事業承継補助金を受給できるのはどのような場合か?

後継者による時代に合わせた新しい取り組みを、国も制度として後押ししています。その制度の一つが、事業承継補助金です。事業承継補助金は、事業承継によって後継者が新たな取り組みを行う場合に、国から最大1200万円の補助金をうけることができるという制度です。

 

どの会社にいくらの補助金を交付するか決めるのは、国の機関である中小企業庁です。中小企業庁として、事業承継補助金として限られた予算を交付するにあたっては、この会社に交付すると、より地域経済にとっていい結果となりそうだという会社を選びます。

 

中小企業庁は、事業承継補助金の交付にあたって、どのような会社が、どのような後継者が、どのような取り組みを行うために、何に投資をするのか、その取り組みによって、どのような結果が見込まれるのかを確認します。確認にあたっては、客観的な事実に基づいて審査を行う必要があり、具体的な基準として下記の要件を設けています。

 

 

会社の要件

  • 会社が中小企業者等であること及び地域経済に貢献していること

 

中小企業者等とは、会社の業種によってことなりますが、資本金が5000万円~3億円、従業員数が50人~300人の会社をいいます。この条件をみたしていても、大株主が大企業であるような場合には中小企業者でないと判定される場合もあります。また会社の事業内容について、公序良俗に反しないことなどがポイントとなります。なお過去に類似の補助金の受給を受けた場合には、事業承継補助金を申請することはできません。

 

 

 

後継者の要件

つぎのいずれかの要件を満たすこと

 

  • 経営経験がある
  • 同業種に関する知識などがある
  • 創業・承継に関する研修等を受講したもの

 

新たな取り組みを行う後継者の経験や知識などの資質がポイントとなります。なお他の条件にもよりますが、経営経験は3年以上、実務経験は6年以上が基準となります。

 

補助対象となる経費

補助対象となる主な経費は以下となります。

 

 

  • 人件費(新たな取り組みに従事する従業員の給与など)
  • 事業費(事業再編に伴って発生する申請書類作成費用、店舗借入費など)
  • 設備費(店舗・事務所の内外装工事、機械装置など)
  • 原材料費など
  • 知的財産・特許関連
  • 旅費、謝金など
  • マーケティング費、広報費
  • 処分・解体費
  • その他多数

 

新たな取り組みを行うために必要な経費であるかがポイントとなります。例えば、人件費について、従前雇用者を新規事業の担当者とする場合は、対象経費として計上することが可能です。設備費については、対象外となるものがあるので確認が必要です。

 

なお、補助金を活用して購入した50万円以上の財産は公共物として扱い、処分にあたっては事務局(中小企業庁)の承認が必要となります。

 

 

事業承継の形態の要件

  • 法人における退任、就任を伴う代表者交代による事業承継
  • 個人事業における廃業、改行を伴う事業譲渡による承継
  • 法人から事業譲渡を受け個人事業を開業する承継

 

法人においては事業承継により代表者が交代しているかがポイントとなります。その他にも先代経営者の事業を廃業して、新たに事業を行う場合などが該当します。また、承継期間として2015年4月以降に事業承継を行っていることが要件となります。事業承継を行ってから申請時までに相当の期間が経過している場合は補助金の申請できないため留意が必要です。

 

 

経営革新等を伴う新しい取り組みであること

  • 新商品の開発又は生産
  • 新役務の開発又は提供
  • 商品の新たな生産又は販売の方式の導入
  • 役務の新たな提供の方式の導入

 

販路拡大、新市場開拓、生産性向上、事業の活性化を目的とした取り組みであり、その取り組みの独創性、実現可能性、収益性、継続性などがポイントとなります。

 

 

 

事業承継補助金には2種類ある

事業承継補助金を申請する際は、最大500万円までとなるⅠ型と、最大1200万円までとなるⅡ型の2種類から、どちらか1つを選択する必要があります。Ⅰ型は(後継者承継支援型~経営者交代タイプ~)、Ⅱ型は(事業再編・事業統合型~M&Aタイプ~)と整理され、事業承継の形態と事業承継の取り組み内容によってことなります。

 

Ⅰ型の事業承継の形態及び取り組み内容は上記のとおりです。例えば、法人の代表者が交代して、新商品の開発や販路拡大などが該当します。

 

Ⅱ型は代表者の交代にあわせて、後継者が会社の議決権の過半数を取得することが要件となります。さらに、事業承継の形態として、法人間における事業の引継ぎや個人事業主から法人への事業譲渡が加わります。またⅡ型の事業承継の取り組みとして、既存事業の廃止や集約、事業所の廃止を伴う場合には、多額の経費が必要となるため、最大1200万円が給付されることとなります。

 

 

 

 

事業承継補助金の申請は事前の準備が必要

事業承継補助金の申請にあたっては、対象事業にかかる事業計画や資金計画などの策定が必要となります。

 

STEP1:経営革新等支援機関への相談

事業承継補助金の応募をする際には、経営革新等認定支援機関による確認書が必要になります。

 

STEP2:応募、交付申請、交付決定

必要な申請書類をそろえて応募します。書類に不備や不足がある場合は採択されないため留意が必要となります。審査にあたっては加点事由があります。事業計画書を添付することにより採択率があがる場合があります。事業計画書を作成することにより、対象事業の目的や資金使途などを明確にしておくとよいでしょう。

 

STEP3:事業実施

対象期間中に取り組みを行い、支払まで完了する必要があります。なお、補助金の交付決定通知書の日付以降の支払いが対象経費となるので、先に支払わないよう留意が必要です。

 

STEP4:事業報告、補助金の交付

補助金の交付は、補助事業完了後、30日以内に実績報告書を提出し、その後2〜3ヶ月程度の期間が必要です。補助金の交付は事業の実施後になります。補助金の交付をあてにした資金計画では補助金の申請が通りません。

 

STEP5:事後報告

補助対象事業を実施した後、5年間の経過報告を行う必要があります。また、対象事業につき帳簿等を5年間管理しておく必要があります。

 

 

事業承継により後継者に新しい取り組みを任せてみる

インターネット広告の導入など新たな取り組みを後継者に任せてみたい。そう考えている社長にとっては、後継者に新しい取り組みを任せることにより、補助金を活用して資金面でも効果的です。

 

国としても会社の技術・アイデア・雇用を守るため、事業承継を積極的に支援しています。事業承継補助金の予算も大幅に増額する予定となっています。会社を継いだ後継者にとって、事業承継補助金はぜひ活用したい制度です。当事務所の事業承継コンサルティングでは、事業承継のスキームだけでなく、後継者と一緒に事業計画の策定を行い、事業承継後の会社の存続と発展をサポートしております。事業承継補助金に関するご相談も承りますので、お気軽にご相談ください。

 

この記事の執筆者

風早 昭徳

大手税理士事務所で相続・事業承継の経験を積んだ後に独立。風早税理士事務所の代表税理士。

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風早税理士事務所 代表税理士 風早 昭徳

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